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「ああ、そうだ。これに見覚えはござりませぬか」
箸をおいた芲埜祈がおもむろに袖に手を入れる。
「天井の板が少しずれていて、そこから落ちてきたんです。きっと家鳴か屏風のぞきの悪戯でしょうな」
そう言って握りこぶしをそっと開いた芲埜祈。
布でできた丸いボールのような何かがじゃりじゃりと音を立てて転がる。よく見てみれば、どこかで見たことのあるような生き物の顔が描かれていた。
猫みたいな顔にウサギのような垂れ耳。
それにはすねこすりの顔が描かれていた。
「お手玉だね。人間の子供のおもちゃだよ。三つくらいを同時に投げて遊ぶんだ」
「そうでしたか。私が見つけたのはこれひとつでした」
そう言ってお手玉に視線を落とした芲埜祈。
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