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「……そうだね。僕たちは特別な力があるはずなのに、どうしてこう無力なんだろうね」
あまりにも寂しそうな声だった。どこか諦めを含んだ瞳が私を見つめる。
「あのね。麻ちゃんには、ここでゆっくりと心の傷を癒してほしかったんだ。突然不思議な力を持って、たくさん怖い思いをしただろうから」
三門さんが私の手にそっと自分の手を重ねた。重ねられた手に視線を落とす。
「だからもう、これ以上妖たちと深く関わらないで」
前に言われた時とは違う。三門さんの言葉からは強い意志が感じられた。
『三門さんのように、誰かを救うことができるだろうか』なんて思ったこともあったけれど、結局私は何もできなかった。
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