肆章 木霊の探し物

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 「もしかして……須久木?」  御神木を見上げながら尋ねる。木は何も言わなかったが、葉っぱが一度上下に揺れて、また動き出した。  慌ててそれを追いかけてる。本殿の裏に差し掛かって、その葉っぱはゆっくりと地面に落ちていった。  視線をあげれば、本殿の裏の壁にもたれかかるようにして座り、空を見上げるケヤキの姿があった。  声をかけたいのに思うように声が出せず、その場でおろおろとしていると、空を見上げていた芲埜祈がおもむろに口を開いた。  「────須久木の奴め、またお節介なことを」  そう言って苦笑いを浮かべた顔で私を見る。
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