1400人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
「もしかして……須久木?」
御神木を見上げながら尋ねる。木は何も言わなかったが、葉っぱが一度上下に揺れて、また動き出した。
慌ててそれを追いかけてる。本殿の裏に差し掛かって、その葉っぱはゆっくりと地面に落ちていった。
視線をあげれば、本殿の裏の壁にもたれかかるようにして座り、空を見上げるケヤキの姿があった。
声をかけたいのに思うように声が出せず、その場でおろおろとしていると、空を見上げていた芲埜祈がおもむろに口を開いた。
「────須久木の奴め、またお節介なことを」
そう言って苦笑いを浮かべた顔で私を見る。
最初のコメントを投稿しよう!