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「麻どの。私は、兄弟を愛しているから、この道を選んだのです。私はこの方法こそが、兄弟が与えてくれた愛に答えられるのだと思っています。だから、悲しまなくてもいいのですよ。」
胸が張り裂けそうだ。こんなにも悲しい愛の形があってもいいのだろうか。
自宅へ戻ると、三門さんが困ったように微笑みながら玄関で待っていた。
「おかえり。」
唇を噛み締めながら頷くと、頭に掌が乗せられる。
「僕は準備があるけど、麻ちゃんはゆっくりしておくといいよ。少ししたらババが来るから、社務所で休んでいて」
何も聞かず何も言わず、ただそれだけ言って出て行った間合いが有難かった。目元を袖できつくこすって顔をあげた。
何もできないなら、私にでもできることを探そう。それが私のできることだ。
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