肆章 木霊の探し物

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 「ゆっくり休めた?」  こちらを窺う三門さんに言葉が詰まった。  「えと、あの」  「泣きつかれて眠ったみたいだから。ババにもそっとしておくように言ったんだけど」  目を見開いたその瞬間、数時間前の光景が脳裏をよぎった。手にしていた箸を落としてしまい、慌ててそれを拾い上げると顔をあげることができなくなった。  「芲埜祈は……」  三門さんは何も言わなかった、ただ静かに首を振る。さっきあれほどたくさん泣いたのに、またすぐに目頭が熱くなった。  背中に感じたあの光は芲埜祈のものだったんだ。背中越しでも分かるくらいに、頼もしくて力強く、弟の木霊の魂よりもうんと温かくて優しかった。芲埜祈のそのままの姿を現すような柔らかな光だった。  芲埜祈の魂も空に昇った。朽ちかけた体で、兄弟を救うために無理をし続けたんだ、そうなってしまうのは運命だったのかもしれない。
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