肆章 木霊の探し物

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 ババが盆に年越しそばを乗せて戻ってきた。私の隣に座布団を引き寄せて座った三門さんは、丁寧に手を合わせる。  「おや、麻、全く箸が進んでいないじゃないか。年越しそばはね、災厄をきっぱり切り捨てるために食べるんだよ」  「そうそう。そばは切れやすいから、それにちなんでるんだって」  ほくほく顔で箸を進めるババと三門さん。つられるように一口すすると、温かさが体に染みわたる。いつの間にか頬が緩んで、笑っているのに涙が零れた。何が何だかよくわからなくて、お腹と胸がポカポカしていくのだけがよくわかった。
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