壱章 結守の社へ

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 「僕も、ババも、この結守神社も。麻ちゃんが手を差し出せば、迷うことなくその手を掴む。みんな麻ちゃんの味方だからね」  優しい目。心から私を受け入れようとしてくれている目だ。  ずっとその目で私を見てほしかった。助けてほしかったのだ。  視界が滲む、胸が苦しい。  なのにどうしてだろう、こんなにも心が温かい。  うわあ、と子どもみたいに声をあげて泣いた。何も考えずに、心が空っぽになるまで泣いた。  私の頭を撫でる大きくて優しいその掌が、とても暖かくて心地よかった。
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