弐章 天狗の初恋

5/100
1396人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
 まだ着慣れない巫女装束に着替えると、神楽殿の反対側、本殿とは太鼓橋でつながっている御守授与所へ向かった。  主におみくじや護摩木、お守りを置いているその場所は、建物の中は白い幕で横半分に区切られていて、前半分はオープンキッチンのようになっていて、直接参拝者へお守りなどを渡すことが出来る。  作業をするのは参拝者の目に着かない、幕の後ろ側だ。  「業者さん、まだ間に合うって言ってくれたよ」  ひたすら黙々と小袋に福豆をつめ、ホッチキスで封をするという作業を繰り返していると、三門さんが裏からひょっこりと顔を出した。  福豆を提供してくれている農家さんに、追加の注文をできるかどうかの確認の電話をしていたらしい。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!