弐章 天狗の初恋

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 過去には、ということは結守神社の昔の神主さんということだろうか。悲しい事っていったい何なのだろう。  少し気になったのだけれど、悲し気に目を伏せる三門さんを見ると、追及することは憚られた。  「ああ、そうだ。言霊の力の話だったね」  気を取り直したように姿勢を正した三門さんは、手を動かしながらそう言った。  私もいつの間にか止まっていた作業を再開し、三門さんの顔を見る。  「昨日言った通り、僕や麻ちゃんの中に宿るのは言葉通りの現象を起こす力、言霊の力。言霊の力は主に二通りの力が合わさって、成り立っているんだ」
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