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地下牢からルーノの眠る部屋へと帰る途中、ふと庭が目に入る
あの花壇、ルーノが一人で修復していたものだ
それを思いだし、収まってきていた怒りがまた溢れ出てきた
やっぱり、スーノにも少し罰を与えた方が良かったかもしれない
ナイト「…そうだ」
スーノにもルーノと同じ気持ちを味わって貰おう
明日にでも、花壇を1から作って貰おうか
そんなことを思いつき、少し怒りが和らいだ時だった
ガシャーンッ
何かが割れる音…
俺はすぐさま駆け出し、ルーノの部屋へ飛び込む
すると…
ナイト「ルーノ!!」
割れた音は、ルーノが花瓶を割った音だったようだ
ルーノはその破片を手に取っているところだった
ナイト「ルーノ、危ないからそんなものは捨てて?」
違和感を感じた
目が見えないはずなのに、すんなり破片を取ったから
ルーノ「死にたいの…」
ナイト「っ!」
ルーノ「死にたい…」
ルーノはそう言い、花瓶の破片を自分の首へ持って行こうとする
ナイト「やめろルーノ!!」
無理矢理ルーノの手から破片を奪い取る
ナイト「ルーノ、何でこんなことしようとしたんだっ」
ルーノの肩に手を置き、正面から見据える
ルーノは無表情のまま、俺の顔を見てくる
ルーノ「誰も助けてくれない…謝っても止めてくれないの…。痛くて苦しい思いするのは、もうやだ…もうあんな怖いことしたくない…もう耐えられないよ…何でルーばっかり、っ殺して…死なせてよぉ…」
堰を切っように、ルーノは泣き出す
手で顔を覆い、崩れ落ちる
ナイト「っ、大丈夫だから。もうルーノにいやな思いはさせない」
ルーノ「ぅっく…ヒック」
ルーノは顔を横に振るだけで、何も言わない
ナイト「ルーノ」
優しく抱きしめると、ルーノは少し落ち着いたようだ
しばらくルーノの嗚咽だけが部屋に響く
ルーノ「ナイにぃ…」
ナイト「なに?」
ルーノ「…ごめんなさい」
ナイト「っ…どうして?ルーノは何も悪くないよ」
ルーノ「花瓶割っちゃったし、ナイにぃに我が儘言っちゃった」
花瓶なんて、王家なんだからいくらでもある
我が儘だって、まだ10歳なんだから言ってもいいのに…ルーノは…
ナイト「花瓶よりルーノにケガがなかければいい。それにルーノは沢山我が儘言っていいんだよ」
ルーノ「…でも、」
ナイト「それなら、俺も我が儘を言うね。…ルーノ、これから先俺の為にも生きて」
ルーノは驚いたような顔をし、躊躇いながらも頷いてくれた
ナイト「約束」
ルーノ「うんっ」
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