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「そうだ。それはワシが送った文だ」
「何言ってんだ。あれは俺様が送った文だ」
何やらもめだしたミニ武将達に煩いと怒鳴り付け静かにさせると、改めて話を聞く。
だが、3人があの文を出したと言って譲らない。
どうやらこの中にメールを送った人物がいるようだが、届いたのは一通。
そうなると、3人の内2人が嘘をついていることになるのだが、先程手紙の内容は話してしまったため誰が本当のことを言っているのか確認のしようがない。
「あ、そっか」
手をうち納得すると、3人の視線が私へと集まる。
ミニ武将達は、私が誰の言葉を信じるのかと緊迫した空気を纏う。
だが私はというと、これは夢なんだから寝てなかったことにしようと言い、再び布団の中へ。
すると、突然扉が勢いよく開かれ、部屋に大声が響く。
「アンタは何時まで寝てんのッ!! 高校生が親に起こしてもらうんじゃないわよ」
その声にミニ武将達は耳を塞ぎ、私が飛び起きるとお母さんは階段をおりていく。
ほっと胸を撫で下ろす私の瞳には、まだ3人のミニ武将の姿がある。
そしてふと目に入ったスマホの時刻は遅刻ギリギリ。
今はミニ武将よりも学校へ行かなければと慌てて着替えようとしたが、パジャマを脱ごうとする背に視線を感じ振り返る。
「我々のことは気にするでない」
「私達はただ見ているだけですから」
「俺様がしっかりみててやるからな」
結構ですとハッキリ口にし、近くにあったタオルをミニ武将の頭上に投げ、今のうちにサッと制服に着替えると家を飛び出した。
なんとも慌ただしい朝だが、あのミニ武将が夢でないことだけはわかってしまった。
だがそれよりも今は、遅刻しないかだけが心配だ。
なんとか遅刻ギリギリでセーフだった私に声をかけてきたのは、後ろの席の友達、美海だった。
美海は昨日あのアプリを教えてきた張本人であり、何か知っているのではないかと然り気無く聞いてみようとするが、ミニ武将が突然現れたなんて話したところで笑われて本気にされずおしまいだ。
ならどうすればいいのかだが、先ずは昨日のアプリのことを話すことにした。
あのアプリをインストールしたことを話すと、美海はキラキラとした瞳で食いついてくるが無理もない。
美海は武将好きであり、今までこの手のアプリやソフトは何度も薦められたが適当に受け流し私はやったことすらない。
そんな私が初めて武将のアプリをインストールしたと知れば、この反応は普通なのだろう。
だがこの話の目的はこの先にある。
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