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「さてと、では本当に時間が惜しいので行きますよ。 手を置いてください。」
「分かった。頼んだぞシャルルさん!」
「はい、任せてください。この精神状態なら神殿もちゃんと受け入れてくれる筈です。 多分……」
「は? 多分てなんだよ、多分て! そこは絶対間違っちゃダメな所だろ? 案内係がそんな適当でいいのか?!」
「喧しいですね~、気が散るのでちょっとお口チャックしてて貰えますか~?」
再びヒートアップする。
(お、女の子じゃなかったら既に殴ってるところだ……つーか、この際殴ってやろうか!)
殺気ムンムンな俺を無視して、シャルルは水晶に掌を当てる。
すると呼応するように水晶は強い光を放出し始める。
シャルルは目を瞑り再び異界の言葉を放つ。
「こ、こら本当に頼むよ!俺を人間界にちゃんと帰してねシャルルさん?! だってまだ俺死にたく…ぃ……」
ピカーーー
ユーマの切実な想いを乗せて二人は光の中に吸い込まれていく。
この先は身を清める為の神殿へと続く道。
――の筈…
大事な事は何一つ説明されないまま半強制的に連れ回されるユーマであった。
ユーマの奇想天外ファンタジーストーリーはこうして理不尽に幕を開けたのだった。
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