2話 漆黒の聖者

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シュートの担当する南西空域サザンオルドは比較的気候が安定し、人間でも運よく食料や水を見つけられれば7日間位は単独で生きられる環境だった。 ユーマを発見出来たのもそんな穏やかな環境下であった為だ。 仮に北空域【ノースアグニー、ノースガバン】の最端に迷い込んだとしたら、極寒故たちまち生命活動は停止していた事だろう。 異世界であれ天候に左右される【エデン】は太陽光がほぼ届かない場所も存在する。 そこは闇と絶望が支配する気温マイナス100~130度の極寒地獄で、生命力がずば抜けて高いドラゴンでさえ、僅か1年生存するのが精々と言われていた。 そう、ユーキ・ユーマは幸運だったのだ。 サザンオルドの穏やかな環境と、監視者の中でも紳士的な精神を持つシュートに拾われた事が、死を免れる最大の要因となっていた。
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