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「うーん、どうかしらねぇ。私もそこまで古くからこの仕事に携わっているわけじゃないからね。その辺はさっきのあの子の方が詳しいわよ。」
そういいながら入口の方に親指を向けるチェルシー。
「でもあのツインテールの子随分若く見えましたけど。私と同い年位、…15歳とかじゃないんですか?」
「あははははは、それあの子に言ってあげてよ喜ぶから。あの子はあー見えても700年以上は生きてるのよ!まぁ妖精の寿命は相当長いし、歳とっても若い姿のままだからね。」
「な、700年…!ものすごい人生の大先輩だった。チェルシーさんも妖精さんなんですか?」
その返答の代わりにチェルシーは濡れた純白の翼を広げ、その先端をルリの額に近づける。
雫の一滴がルリの頬を伝わり落ち、水面に波紋を作る。
翼を摘まんでいた細い指先はルリの耳裏から顎裏に向かって優しくなぞられていく。
ルリはその妖艶な素振りに呼吸をするのも忘れていた。
同性でありながら純粋な美に心はすかっり囚われ言葉がなかなか出てこない。
「ふふふ、こんな人間いないでしょ?」
「……キレイ」
「ふふふ、さぁそろそろ出ましょう。あなたが私にのぼせる前に、なんてね♪」
「……ふあ~ぃ…」
…あちゃー、だめだこりゃ。
ルリは二つの意味で既にのぼせてしまっていた。
湯でダコのように真っ赤になったルリを浴槽から引きずり出し、冷水を「バシャーッ!!」と浴びせる。
ルリは直後慌てふためき犬の様に頭をブルブルさせた。
その末路にチェルシーは腹を抱え笑うのだった。
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