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「うそだろ、空に浮かんでんぞこの島………」
ドクン ドクン ドクン ドクン
驚嘆に触れた胸が今になってバスドラムの音を刻んでいるのに気付く。
雲の上に浮かぶ無数の島々、ドラゴンという空想上の生物の存在、飛行体験。
これらの衝撃は1000日分の満腹感を与えた。
「えっと~、黄昏ている所悪いんですけど~、そろそろ案内してもいいですか~?」
「な、何?! 今度は何?!」
急に背後からダル重そうな雰囲気を醸し出した若い女性の声が聞こえてきた。
俺は武道の嗜みなど持っていないが、不器用にも臨戦態勢をとり、絶望的に遅い速度でシャドーパンチを繰り出して見せる。
パッと見10代半ばと思しき少女は、その一連の動作に可愛そうな人を見る目を向けている。
「……えっと~もう満足ですか~?
そんなに警戒しないでいいですよ~、とって食ったりしませんので~」
少女は敵意がないと言うように両手でお手上げのポーズを取って見せている。
俺は暫し臨戦態勢を崩さなかったが、「ふぅ~やれやれ」とかぶりを振る少女に構えを解くことにした。
「ふぅ、やっと分かって貰えましたね~、良かったですよ~。このまま10年間同じ状況だったらどうしようかと思ってましたぁ~」
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