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現実世界
目覚めは最悪だった。
ボクの夢を見るなんて…。
それでも朝はきている。
僕は起きなきゃいけない。
1人暮らしをしているからと言って、何もしないと生きてはいけない。
シャワーを浴びて、歯を磨いた。
着替えて朝食を作る。
トーストとヨーグルト、それに目玉焼き。
目玉焼きはトーストの上に置いて食べる。
僕はこの食べ方が好きだった。
ボクの方は別々に食べるのが好きみたいだけど…。
「って、ダメだ。あんなヤツのこと考えちゃ…」
ボクのことを考えることは、心を許すことにつながる。
もう心を許しちゃいけない。
僕は自分1人で生きていかなきゃいけない。
でないと…。
ピンポーン
インターホンの音で、意識が現実に戻った。
玄関先のモニターを見ると、顔見知りの男女がいた。
僕はすぐに玄関に行った。
「お久し振りです、門馬(もんま)さんに希更(きさら)さん」
「久し振りだね、陽日(はるひ)くん」
「久し振り、ハルくん」
50代の男性が門馬さん。
30代の女性が希更さん。
2人とも刑事で、昔…僕とボクがお世話になった人だった。
「ちょっといいかな?」
「伝えたいことがって、今日は来たの」
2人は笑顔だが、どこか緊張感がある。
「はい、どうぞ」
だから僕は不安になりながらも、部屋の中に入れた。
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