8人が本棚に入れています
本棚に追加
「月夜と会う為だけに、あんな事件を起こしたのか!」
僕は遊間の手を振り払い、後ろに下がった。
「そうだよ。そうでもしなきゃ、彼に会えないじゃないか」
遊間はそれが当たり前だと言うような顔をした。
「あの事件の後、話していた相手、ツキヤでしょ? 彼を呼び出してよ」
「冗談っ…! 僕は月夜をもう二度と表に出さないことを条件に、表の世に出てきたんだ! アイツの好き勝手にはもう二度とさせない!」
「ヒドイ言い様だね。そもそも3年前の事件、ツキヤが動いたのは、キミのせいだって聞いたけど?」
「なっ!」
どこでそれをっ!
…遊間はどこまで知っている?
「まっ、俺が知っているのは、キミが中学時代、イジメられていたことだけどね」
「あっ…」
遊間はニヤッと笑った。
「陽日は控え目ながらも優等生だったんだよね? でもそれを気に喰わない連中から、ひどいイジメを受けてたんだ。ご家族はそれを知って、キミを庇うどころか、逆に情け無いヤツだって、切り捨てたんだろう?」
「あっ…ああっ!」
眼を閉じると、次々と思い出してしまう。
…中学時代、入学したての頃はまだ良かった。
でも2年になると、周囲の態度は冷ややかなものになっていった。
僕の家族はみんなエリートの道を進んでいた。
だから僕も僕なりに一生懸命に頑張ってきた。
でも…。
頑張れば頑張るほど、友達は冷たくなっていく。
頑張っているのに、家族は認めてくれない。
そして…ボクが現れた。
僕を守る為に現れたのだと言って、ボクは…。
最初のコメントを投稿しよう!