3年前の事件

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3年前の事件

ボク―月夜はまず、夜の街に出るようになった。 そしてナイトクラブに通い詰め、そこで手下達を集めた。 手下達は主に暴走族や不良達。 そこからヤクザや警察にまで、手や顔を伸ばした。 そうして夜の街は、月夜の物になった。 次に学生達。 月夜は僕をイジメた連中を、暴走族や不良達を使って、ヒドイ目に合わせた。 そして一般の生徒達は、そのカリスマを以て、自分の配下とした。 そう…『人形』だ。 月夜の為ならば、何でもする『人形』達を作り出した。 そこに薬や脅迫は必要無い。 ただ、月夜のカリスマ性を見せれば、誰でも言い成りになってしまう。 そのぐらいの強さと力を、ボクは持っていたから…。 だがその動きはエスカレートした。 やがては僕の家族をも不幸にして、社会にまで月夜の存在は出てきた。 それで警察が動かないワケにはいかない。 門馬さんと希更さんがある日、僕に接触してきた。 起こっている事件に心当たりがないか―と。 被害者の身内である僕を、最初は疑わなかった二人だけど、僕の周囲でばかり事件が起こることを不審には思っていた。 その時には、僕はボクを止められなくなっていた。 面白半分に『人形』を使い、事件を起こし、笑う月夜を…暴走し始めたボクを止められなかった。 だから最初は何も知らないことを通した。 月夜は2人が現れても、平気で動いていた。 やがて…僕自身が耐え切れなくなった。 その時、すでに月夜の信者は4ケタにも上り、最早…僕が手を付けられなくなってしまった。 だから…終わりにしたかった。 僕は門馬さんと希更さんに、ボクを会わせた。 最初はシラを切っていた月夜だけど、僕が深く傷付いていることを2人から教えられ、表の世に出ないことを決めた。 そして2人の説得もあって、僕は家族から離れ、一人暮らしをはじめた。 …コレがもう2年も前の話だ。 事件を終わらせるのに、1年もかかってしまった。 死者こそ出ていないものの、心を殺された者は大勢いる。 未だに病院から退院できない者もいる。 家族だって、すでにバラバラで…。 僕は全てを失った。 …あの忌まわしい思い出がある土地から離れ、新たにここで暮らし始めたのに…。 それでもやっぱり、僕の罪は消えないのか?
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