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後一歩という所で、遊間はようやく空気の温度差に気付いた。
そして気付いた時には、首を捕まれ、地面に叩き付けられた。
「ぐはっ! なっ何故…?」
「バカ言ってんじゃねーよ。オレにとっちゃ、アイツが全てなんだ」
月夜は陽日を乗っ取る為に生まれた存在ではない。
守る為だけに、生まれてきたのだ。
それを否定されることが、月夜は何よりもキライだった。
「お前、このまま生かしておくと、後々アイツに危害を加えそうだな。早めに始末しておくか」
首を絞める手を緩めないまま、月夜は遊間の体を引きずり、手摺までやって来た。
「なっ何をっ…!」
「あっ? テメーが言ってじゃねーか。ここで飛び降りても、自殺になるって」
イヤな笑みを浮かべる月夜を見て、遊間は自分の危機を悟った。
「まっ待って! 俺は陽日に危害を加えない! キミに会えただけで、満足なんだから!」
「ウソつくな。コレもさっき言ってただろ? アイツの存在を否定するようなことを!」
「ひっ…!」
「アイツを傷付けるものは、全て消す。それがオレの存在する意味だからな」
遊間の体をいとも簡単に持ち上げ、上半身を手摺の向こうに押した。
「やっやめっ!」
「じゃあな」
―ダメだっ! 月夜っ! 殺すな!
「ぐっ…。陽日?」
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