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突如頭の中に響いた陽日の声に、月夜の手が止まった。
―人殺しは絶対にダメ! 僕ら、それこそもう二度と会えなくなる!
「だが陽日、コイツを野放しには出来ない。お前を傷付けたコイツを、許すことはできない」
―それでもだ! …月夜、僕はキミを失いたいくない…!
「陽日…」
切ない陽日の声で、月夜は少し考えた。
「はぁ…。分かったよ」
ため息をつくと同時に、遊間の体を屋上の床に投げ捨てる。
すでに遊間は意識を失っていた。
「今日のところはお前に免じてコイツを解放するが…。二度は無いぞ?」
―…うん! ありがと、月夜。
「全てはお前とオレの為、だろ? ならオレは引くとしますか」
月夜が肩を竦めるのと同時に、屋上の扉が音を立てて開いた。
「ハルくん! 大丈夫?」
希更刑事が、飛び込んできた。
「…っ! コレは一体…」
希更は倒れている学生達の中、1人立つ陽日の後姿を見つめた。
「ハル、くん?」
恐る恐る声をかけると、陽日はゆっくりと振り返った。
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