現実世界

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「マンションでの1人暮らしには慣れたかね?」 「ええ、何とか。いろいろと大変なことは多いですけど」 「あら、でもちゃんと朝食を作って食べているなんて感心だわ。アタシなんてめんどくさくって、しょっちゅう抜いちゃうから」 「あっ、すみません。今片付けます!」 慌てて食器を下げて、コーヒーカップを二つ棚から取り出した。 「お2人とも、ブラックコーヒーでよかったんですよね?」 「ああ、すまないね」 「お願いね~」 コーヒーを淹れながら、僕はいろいろな考えを巡らせていた。 まさかまたボクが何かしたのか? …でもそんなことない。 そう、信じたい! 「今日はどうしたんですか?」 心境を隠し、僕は笑顔で2人にコーヒーを差し出した。 「ああ、ちょっとな」 門馬さんが希更さんに視線を向ける。 希更さんはコーヒーを一口飲んだ後、真剣な表情で僕を見つめた。 「ねぇ、ハルくん。最近、月夜クンが動いたことは無かった?」 ぞわっ! 全身に鳥肌が立った。 月夜(つきや)はアイツの名前だ。 もう1人のボクの…。 「…いえ、最近は大人しく中にいますよ」 震える声でそう言うと、二人は顔を見合わせた。 「実は最近、ちょっとおかしな事件が起きててね。こう言うのも心苦しいんだが…月夜くんが関係しているんじゃないかと思ってね」
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