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「全く、疑い深いお嬢さんだこと」
「今まで疑い無しについていったせいで、とんでもない目に遭ってきましたから」
帽子の女性は困ったように俯き腰に手を当てた。
形の良い唇がゆっくりと動き言葉を吐き出す。
「……アドビス・グラヴェールにあなた達の事を頼まれたの」
「えっ?」
リュイーシャは目を瞬かせた。
「あなたは、アドビス様をご存知なのですか?」
帽子の女性は小さくうなずいた。
「少なくとも、あなたよりずっと彼の事は知っているわ。そしてそのアドビスが、あなた達の代わりにロードの船に連れていかれたことも」
「なんですって?」
リュイーシャは心臓を氷の手で握りつぶされるような恐怖感に襲われた。
アドビスがロードの船に連れていかれるなど、思ってもみなかったからだ。
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