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アドビスの軍艦にリュイーシャたちが救助されてはや三日が過ぎた。
食事を運んだり、必要なものを届けたりと、リュイーシャ達の部屋を訪れるのは士官ハーヴェイと、もう一人の女性乗組員――ウェッジ航海長の細君コーラル夫人の二人だけだった。
今までシグルスの船に囚われていた事や、男ばかりが乗っている軍艦ということを考慮して、リュイ-シャ達の部屋に入る事ができるのはこの二人だけらしい。
コーラル夫人はリュニス語が話せないので、部屋に来る時はいつもハーヴェイを伴って来た。四十前後のふくよかな体型の人で、ハーヴェイいわく海賊をフライパンや鍋を振り回して倒したことがある武勇伝の持ち主らしい。
「やーね! 恥ずかしいから、そんなこと話すもんじゃないよ!」
コーラル夫人が勢い良く回した腕は、成年男性のハーヴェイより太く、彼は肩を叩かれた拍子に大きくよろめいて部屋の床に尻餅をついた。
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