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水の竜となった竜巻はリュイーシャにまとわりついていた悪霊を巻き込み、フォルセティ号を海面へと一気に押し上げる。
これで大丈夫だ。
船は風の力に乗って浮き上がるはず。
リュイーシャは風を操りながら、その光景をじっと海の中から見つめていた。
一片の光も射さなかった暗き海面に、今はぼんやりとした淡い光が満ちている。
――こちらにおいで。
リュイーシャを招くように、いく筋もの光が海の中に差し込んでいる。
光はとても温かく、呼び掛ける声は潮騒が混じった母の声に似ていた。
リュイーシャの体は自然とその光に導かれるまま、上へと上がっていった。
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