【24】主を探す鳥

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「れなんでぃ、沈んだ。しぐるす、どこ?」  水鳥が黒い瞳を潤ませてリオーネをじっと見つめている。  首をかしげるように傾かせ、黄色いくちばしが再び開いた。 「れなんでぃ、もえた。沈んだ。しぐるす、どこ?」  ――レナンディ、燃えた。沈んだ。シグルス、どこ? 「まさか!」  リュイーシャの隣にいたアドビスが小さく驚きの声を発した。  そして大柄な体躯を素早く回転させて、前方でまさに海に沈もうとしている件の船を凝視した。 「レナンディ号が、襲われたというのか……!?」 「これ。あの海賊のおじちゃんがしていた眼帯だよね」  リオーネが拾い上げた黒い物体――恐らく、海賊シグルスが身に付けていた眼帯であろう。  リュイーシャもまたそれを複雑な思いで見つめていた。  胸の奥でちくりと痛みが走った。  何かがまた起ころうとしている。  昔から悪い事の勘の方が、良い事のそれより勝った。 「しぐるす、どこ?」  羽音と共に水鳥は甲板から飛び立った。主の名を呼びながら。  澄みきった青い空には、炎上するレナンディ号の黒い煙が、どこまでもどこまでも高く昇っていた。
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