55人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴女はどうしたいのか聞いてもいいか? リュイーシャ」
「はい。アドビス様はおっしゃいました。『町を見てから決めてくれれば良い』と」
さっとアドビスの顔色が変わった。
「それはアノリアのことではない」
リュイーシャは微笑んだままうなずいた。
アドビスの気持ちは痛いほどよくわかる。
自分を誰よりも守ろうとしてくれる。力になろうとしてくれている。
だからこそ、その気持ちにこれ以上甘えてはならない。
アドビスは国益を守るために任に着いている軍人である。自分達が船に留まれば彼の負担は増すばかりであろう。
そして故郷に帰る事をやめ、リオーネと二人だけで新たな暮らしをすることを決意したからには、ここでアドビスと別れる方がいいのだ。
最初のコメントを投稿しよう!