【25】アノリア

15/18
前へ
/452ページ
次へ
「貴女はどうしたいのか聞いてもいいか? リュイーシャ」 「はい。アドビス様はおっしゃいました。『町を見てから決めてくれれば良い』と」  さっとアドビスの顔色が変わった。 「それはアノリアのことではない」  リュイーシャは微笑んだままうなずいた。  アドビスの気持ちは痛いほどよくわかる。  自分を誰よりも守ろうとしてくれる。力になろうとしてくれている。  だからこそ、その気持ちにこれ以上甘えてはならない。  アドビスは国益を守るために任に着いている軍人である。自分達が船に留まれば彼の負担は増すばかりであろう。  そして故郷に帰る事をやめ、リオーネと二人だけで新たな暮らしをすることを決意したからには、ここでアドビスと別れる方がいいのだ。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加