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ぺたんと彼の太腿に臀部が接触した。
ふー、ふー、とゆっくりと息をし、身体の硬直を解いていく。
自分の1番弱いところに彼の剛直が熱くはまっている。意識をしなくても力が入り、締め付けた。
浩司は「ん、」と声をもらし、私の顔をその大きな手で包んでこめかみ辺りを撫でてくれる。
安心する。
そう思った直後
「しょう」
いつもこんな感じだ。
「ふ、う、」
視界が滲んでいく。
いつも私は入れられてから泣く。
無防備なところに彼の熱を感じ、優しい触り方で頭がぐちゃぐちゃに溶けて涙腺が緩みやすくなるらしい。
浩司の手を顔から腰に持っていく。
代わりに私の手がネクタイをなぞり、後ろに回して頭をかき抱いた。
どうか涙を悟られませんように。
すぅっと首筋の匂いを取り込みはぁっと出すのを繰り返した。そうしている時に彼の手も私の腰でクロスしてぎゅうっと抱きしめてきた。
好きだ。この男が好きだ。
なんで私じゃないんだ。こんなに愛してあげられるのに。
「尚、好きだよ。」
苦しいような声だった。
あぁ、この男も苦しいんだ。
好きな人を思ってしてるけど、好きな人じゃない。
私達が好き同士だったら良かったね。そうしたら全て幸せなのに。
「す、き、」
相手に聞こえないくらいの声で言ってみる。
あなたが思っているより私はあなたが好きだよ。
こんな、自分に利益なんてないのに身体を差し出す程度には好きだよ。
愛してるんだ。
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