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白いシャツはピタと足を止め、振り返った。俺も足を止める。もう膝が限界だった。ガクガク震える足でゆっくりひーくんへ近づく。
ひーくんは呆然とした表情で、それでも俺の方へ歩いてくる。
「アキちゃん……」
向き合った瞬間、ひーくんがガバッと抱きついてきた。店の中でしたハグより、もっと本気のやつ。俺はひーくんの腕をペチペチ叩いて、踏んばった。倒れそうだ。
「ちょ、ひーくん、ここ、外、外」
しがみついて離れないひーくんを俺もしっかりと抱きしめる。
どこかでキュイーンとロケット花火が打ち上がり、パンと弾ける音がした。
「ひーくん」
「うん、ごめん」
俺の肩で鼻をすする音。
すんごいカッコイイのに。泣いてるの?
「ひーくん、俺、分かった」
「なにを?」
俺の肩に顔を埋めてたひーくんがそろそろと顔を上げる。目はうさぎさんみたいに真っ赤だった。
「もう親友には戻れない」
「……うん」
「戻れないなら、ずっと一緒にいたい」
「……へ?」
真っ赤な目で、ひーくんがまばたきした。
「虫がいい話かもしれないけど、もう一度、俺と付き合ってくれる?」
「……アキちゃん……」
「ひーくんがいない将来なんて考えられない」
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