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「ふふ」
もう一度眠るつもりだったのに、すっかり目が覚めてしまった。部屋の中もすっかり朝日に侵食されてる。きっともうすぐアラームも鳴るだろう。
あれからもう十年以上経つんだ。
指折り数えて考える。
こんなに長いあいだ付き合ってるのに、未だにどんどん好きになってるのはなんだろう。
俺たちってやっぱりおかしいのかもしれない。
「ん……」
ひーくんが寝返りを打った。クシャクシャの髪。彷徨う左手が俺を見つけると、肩を抱き引き寄せる。ポカポカ温かくて大きな手。
「おはよ」
「ん……まぁだ」
寝ぼけた声。
俺をギュウギュウと抱きしめながら、ひーくんが優しい声で言った。
「もう、あさぁ?」
「うん。朝。てか苦しい」
「そっか……んーーーっ」
俺を解放すると、ひーくんは長い手足をめいっぱい伸ばした。
俺の目がおかしいのか、そんなひーくんはすごくカッコイイ。
あんまりカッコイイから、今度は自分からひーくんに抱きつき、胸の辺りで顔を擦った。
マーキングだ。
「ふははは。くすぐったい」
ひーくんは柔らかく笑って、また俺の肩を抱いた。
頭のてっぺんにキスされる。
あー、俺、すごく幸せ。
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