ジェノサイドの果てに

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爆発音、人々の悲鳴・・・見知らぬ子供たちの顔が次々と浮かぶ。 スライドショーのごとく脳裏に!凄い早さで・・・ どうしちまったんだ・・・俺は完全にイカれたか? ちくしょう・・・安易に酒に頼ったのが間違いだ。 しかし、ヤク漬けになったとしてもバッドトリップでさらなる地獄がまっている。 今までの記憶が全部なくなればどんなに楽になるかことか。 しかし、たとえそうなったとしても背負った無数の罪は消えはしない。 俺は今、アキハバラに潜伏中だ。 某国から依頼されたアメリカ都市部での爆弾テロから一週間後、 休暇として日本に来ていた。 今回の報酬も高額だったのでまたしばらくは世界中旅してまわるつもり だったが、精神的に参っていたので今回は一つの地に長く滞在することにした。 アキハバラ、俺はこの街が大好きだ。 他に類をみない電脳都市。 PC、フィギュア、中古ゲーム、アニメグッズ、マニアックな機器の部品を扱う ショップの数々・・・ 実は以前、お手製爆弾に使う一部の部品をこの地で購入したこともあった。 財布の中のキャッシュがあっという間に消えていった。 血眼になってジャンクPCを買い集めては修理したものだ。 正直、お手製爆弾作成よりも断然楽しかったのだ・・・ 今回もケバブ屋の二階の裏びれた一室に俺は身を潜めていた。 このケバブ屋の主人はおたずね者や裏家業の者を一手に引き受け、 口も堅いので信用されていた。 それにしても、アメリカ本土での今回の仕事は後味の悪いものとなってしまった。 標的の連邦ビル前に運悪くスクールバスが通りかかってしまった。 遠方から双眼鏡で爆発状況を確認していた俺はがっくりと膝をついた。 この道十五年の俺はこれを最後に引退を考えていたのに・・・ なんたる失態。 子供は一人たりとも標的にしたことはない。 一般人からしてみれば殺しは殺しだと批判されるかもしれないが、 俺なりのポリシーがあるのだ。 依頼主はそんなことお構いなしに老若男女大量殺りくを望む。 俺が悪魔じゃない。子供は標的じゃない、未来を創るのは若い世代だ。 ・・・こんなこと言う奴はテロリスト失格かもしれない。
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