ベルギウス家の優雅な晩餐(リッツ)

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 約束の一〇分前には父アラステアと兄フランクリンが屋敷に戻り、程なく家族だけの食卓となったのだが……アラステアはやはり笑顔が怖い感じだった。  キャラメル色のショートの髪に、青い瞳。見た目だけはとにかく若く、これで五〇代は詐欺だと思う。  この外見を比較的受け継いでいるのがフランクリンだ。キャラメル色の髪に青い瞳で、眼鏡をかけている。物静かでやや俯く事が多い気がした。 「リッツは最近、随分頑張っているね」  前菜を食べながら何気なく言われ、リッツは視線を上げる。そしてそれとなく笑みを浮かべた。 「たまたまだよ。それに相変わらずの慈善事業だろ?」 「お前なりの人心掌握に見えて来た。まぁ、甘いとは思うがね。顧客も増えたそうじゃないか」 「手堅くやってるし、無理はしてない。吊しはあまり作らずに、完全オーダーだしね」 「評判が高くて、私も鼻が高いよ」  ニッコリと言われて頷く。珍しく褒めるなと、やっぱり警戒がある。この人が他人を褒める時は、何か裏にある時だ。 「キャロラインは最近どうだい?」 「今まで通りよ。女性目線での商品開発やサービスを始めようとしているわ」 「それが当たるとは、正直思っていなかったんだがね」     
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