363人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
約束の一〇分前には父アラステアと兄フランクリンが屋敷に戻り、程なく家族だけの食卓となったのだが……アラステアはやはり笑顔が怖い感じだった。
キャラメル色のショートの髪に、青い瞳。見た目だけはとにかく若く、これで五〇代は詐欺だと思う。
この外見を比較的受け継いでいるのがフランクリンだ。キャラメル色の髪に青い瞳で、眼鏡をかけている。物静かでやや俯く事が多い気がした。
「リッツは最近、随分頑張っているね」
前菜を食べながら何気なく言われ、リッツは視線を上げる。そしてそれとなく笑みを浮かべた。
「たまたまだよ。それに相変わらずの慈善事業だろ?」
「お前なりの人心掌握に見えて来た。まぁ、甘いとは思うがね。顧客も増えたそうじゃないか」
「手堅くやってるし、無理はしてない。吊しはあまり作らずに、完全オーダーだしね」
「評判が高くて、私も鼻が高いよ」
ニッコリと言われて頷く。珍しく褒めるなと、やっぱり警戒がある。この人が他人を褒める時は、何か裏にある時だ。
「キャロラインは最近どうだい?」
「今まで通りよ。女性目線での商品開発やサービスを始めようとしているわ」
「それが当たるとは、正直思っていなかったんだがね」
最初のコメントを投稿しよう!