ベルギウス家の優雅な晩餐(リッツ)

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 そんな兄が変わったのは、跡取りとして英才教育が始まってから。リッツを、避けるようになった。  分かっている、同じ家に同じ男児として生まれたのだから、跡取り争いに巻き込まれる。フランクリンは後継者として必死に勉強していた。その中で、リッツの存在は微妙な引っかかりだったの違いない。  だからこそリッツは早々に独立した。兄の脅威には、なりたくなかったのだ。 「マニュアルでは交渉は上手く行かないと、何度言ったんだろうね。相手を観察しつつその場の機転をきかせなければ思うような商談は取れない。こちらの要求ばかりを押し通そうとしても上手くはいかないんだよ」 「申し訳……」 「あの、さ。せっかく家族で集まったんだし、そういうの無しにしようよ」  どんどん空気が悪くなる。それに耐えられなくなって、リッツは笑って遮った。  一瞬、アラステアの冷たい視線を感じたがこれに怯んじゃいけない。あくまでも笑顔を崩さないのがいいのだ。 「それもそうだ。ところでリッツ、最近ジェームダルともやり取りがあるようだね」 「え? あぁ、うん。ランバートを通してあちらの陛下と少し知り合って……」 「ランバートか。彼とも仲良くやっているかい?」 「それは勿論」 「最近騎士団でも地位を上げている。このまま仲良くしておくんだよ」 「あぁ、うん」     
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