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やっぱり、損益勘定だ。つまりアラステアにとってランバートは有益なパイプなのだ。
友人をそんな風には見たくない。思うが、それを口にしても父には響かない。分かっているから、口には出さない。
「ジェームダルの新王と親しいのかい?」
「無償提供した服を気に入ってもらえて、その関係であちらの重臣の婚礼衣装を発注してもらったんだよ。まだ縁としては薄いけれど、これを気に入ってもらえればまた御用があるかもしれない」
「お前は本当に、意外な才能があったものだね」
ニッコリと満足そうに笑ったアラステアは、ふと視線をフランクリンへと移した。
「フランクリン、お前しばらくリッツにつきなさい」
「え?」
「ちょ、親父!」
虚を突かれたようなフランクリンが固まる。そしてリッツも驚きに声を上げた。
だがアラステアは大真面目なのだろう。自分の考えが正しいと言わんばかりだ。
「リッツの持つ交渉力や観察眼を学んできなさい。お前、このままじゃ私の補佐は出来ても家を任せる事はできないよ」
「!」
フランクリンの怯えた表情に、リッツも思わず睨み付ける。これでは兄が散々だ。プライドだって、ズタボロじゃないか。
「リッツ、ジェームダルへ向かうのはいつだい?」
「明後日にでも……」
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