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そうなると、夜のうちに何者かが連れ去った可能性もある。窓から出入りしたのだろうか。
「荷は?」
「衣服などはそのままでしたが、受け取った代金は見つかっておりません」
「泊まる宿を知っていたのは?」
「同行の四人と、ルフラン様のみです」
では誰がリッツを連れ出した。たまたま目をつけた盗賊か? それとも、もっと違う……
「部屋の様子はどうじゃ? 荒れておったか?」
「いえ、争った様子はありませんでした。布団も乱れておりませんし、荷も探された様子がありませんでした」
「なのに代金は持ち逃げされた。リッツが持っている事を知っていて、探さなくてもありかを分かっていた。そして部屋が荒らされていないのは、リッツが抵抗しなかったから」
「……内部の、フランクリン様をお疑いなのですね」
ルフランの言葉に、シウスは隠す事なく頷いた。
「身内が何かしらの手引きをしたと考えてもいい事案じゃ」
シウスの言葉にまた、不安が音を立てる。何者かがリッツを連れ去った。身内の手引きがそこにはあった。そして事件発生から今までに、時間がかかっている。
「あちらでも動いてくれているのかえ?」
「お願いには行っているはずですが、状況は分かっていません」
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