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「距離がある故、こちらに入ってくるのが遅いか。状況を考えるに、あまり悠長にはしていられぬ。直接ジェームダルへと赴き、連携を取るのが良かろうな」
「え!」
驚いたように目を丸くするルフランは、次に深々と頭を下げる。
シウスはそれに鷹揚に頷いて、視線をウルバスへと向けた。
「陸路は時間がかかる。海軍を出すがよい。捉えたジェームダル海軍兵の引き渡しに行く事になっておったな?」
「はい、そのような予定になっております」
「いつ出せる」
「明日の午前中には。そのまま海路を通り、王都へとつけます。二日もあれば到着します」
「わかった。グリフィス」
「はい」
「お前も行け。ただし暴れるなよ。リッツを探し出す事が先決じゃ、下手に動けば国際問題ぞ」
シウスの気遣いに正直感謝はしたが、冷静でいられるかは分からない。実際今だって、不安に押し潰されそうだ。
「ランバート、お前も行け。お前がいれば裏方も表もできるし、アルブレヒト兄とも密に話ができよう。頼んだぞ」
「畏まりました」
硬い表情のまま、それでもいくぶん冷静な対応でランバートが了解する。隣ではファウストも頷いていた。
グリフィスだけが、困惑や不安に押し潰されるような気持ちのままこの場にいたのだった。
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