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「皆さん、お久しぶりです。出来ればこのような再会はしたくなかったのですが」
穏やかに迎えてくれたアルブレヒトは苦笑する。そして三人を席に座らせた。
「リッツの御者から訴えを聞き、すぐに捜査を開始したのですが、思うような成果は上がっていません。ただ、生きている事は今はっきりと確信できました」
「え?」
思わず顔を上げたグリフィスに対し、アルブレヒトは強く頷いた。
「貴方の側にリッツはいません。それに貴方に結ぶ彼の縁は、未だ切れていません」
「生きて……」
それだけで、どこか力が抜けた。隣のウルバスが嬉しそうに笑い脇を小突き、ランバートもほっと息をつく。
「ですが、楽観もできません。既に七日以上が経過して、なんの手がかりがもないのです。しかも彼が何の手も打てないのですから、何処かに拘束されて監視が厳しいと考えて間違いありません」
「その口振りだと、何か思い当たる事があるのでしょうか?」
「さすがはランバート、鋭いですね。実は地方を中心に、十代後半から二十代前半の子供が誘拐されたり、売られたりしている事案が多数報告されているのです」
アルブレヒトの言葉はグリフィスに刺さる。その人さらいどもに、リッツは捕まったというのか?
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