ジェームダル入港(グリフィス)

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「リッツは見た目にも目立つから、下手な人間に売れないからね。完全に囲える財力のある人間に高値で売り込む気かも。どうやら高値のつきそうな子供をオークション形式で捌いてるって噂もあるし」 「攫われた時期を考えると、ありえる話だな」  ダンも考え込み、バンと膝を叩く。そして、アルブレヒトに向き合った。 「そのオークションに的を絞って現場を押さえるしかなさそうだ、陛下。出させてくれ。俺の嫁の婚礼衣装を作ったせいで売られたなんて聞いたら、俺がイシュナにどやされる」  だが、アルブレヒトとランバート、そしてウルバスは難しい顔だ。 「まずは船を特定して、少数でつけること。そしてその船が領海を出ないように海上封鎖をする事をおすすめするけれど」 「俺もウルバス様の意見に賛同します。ジェームダルの領海を出てしまった船は、その国の法を適用できない。そうなると船が所属する国の法が適用される。万が一船の所属が外海だった場合、捕まえる事ができません」 「海軍をひっそりと用意させます。ハクイン、船の特定はできますか?」 「任せておいて。特定して、ついでに潜入してみる」  このやり取りに、ダンの方はちんぷんかんぷんと首を傾げる。その隣でキフラスは呆れ顔で額に手を当てた。当然、グリフィスもなんのこっちゃだ。 「ウルバスさんや?」     
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