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「あぁ、海上法ってのがあるんだよ。陸から特定の距離はその国の領域として、その国の法が適応されるんだ。これが領海ね。で、ここから出てしまうと公海、どの国にも属さない海域って事になる。この場合、法律は船が所属している国の法が適応されるんだ」
「普通、帝国で使ってる船は帝国の所属なんじゃないのか? ジェームダルでも……」
「そうじゃない。例えば他国で作って届を出した船をジェームダルの商人がこっそり買う。買った船の所属を変えないままジェームダルで使用する。この場合、公海に出てしまえばその船は届けを出した他国の法律が適応されてしまう」
「んな事ありかよ!」
「あるんだ、これが。大体後ろめたい事をしている奴が、規制の緩い国で船を作らせてやるんだ」
信じられないが、ウルバスの様子から事実なんだろうと思う。そんなの、止めようがない。
「ですので、領海から出さない事が大事です。出た場合、面倒な問題になります。明らかな犯罪行為が現行犯で証明され、かつオーナーがジェームダル人であると確かな場合、裁判によってジェームダルの法が適用されることもありますが……時間がもの凄くかかる」
「キフラス、海軍の準備をさせてください。ウルバス殿は自国の船でしたね?」
「はい」
「申し訳ないのですが、船の特定が出来た段階でその船をマークしてもらえませんか? 帝国の船は速いとききますし」
「かしこまりました」
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