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既にパーティは開かれているらしく、一人連れて行かれ、戻ってこない。部屋の中は人口が減る一方で、最後にリッツが首輪を引かれてそこを出た。
「お待たせいたしました! 本日のメインは少し毛色の違う青年です。見た目よし、髪も瞳もキャラメル色とこの国ではなかなかない色合いですよ! それに、あちらの具合も高評価ですので、今更仕込む必要はありません」
ゲスな口上を口にする司会が大層な事を言ってリッツを紹介している。
「行くぞ」
鎖を引かれ、逆らえずに進む。こうなれば自棄だ、むしろ堂々出ようではないか。その上で何か考える。荷の搬入の時に逃げられないか。新しい主人というのをたらし込んで、どうにか。
舞台に上げられたリッツに、会場の人々は溜息をつく。どいつもこいつも綺麗な服に仮面で顔を隠している。美味そうな料理を食べてワインを飲んで、こっちは人生かかってるってのにいいきなもんだ。
「それでは五〇〇からスタートします」
「五一〇!」
すぐに声が上がる。その方を見れば肉膨れした五〇代の男が芋虫みたいな手を上げている。
冗談じゃない! リッツの好みはマッチョであって、贅肉でたっぷたっぷした奴なんて萎えるばかりだ!
あれだけは嫌だ。あれだけは嫌だ。むしろグリフィス以外は全部が嫌だ!
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