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「……俺もお前が攫われたと聞いた時、騎士辞めてお前の側にいれば良かったと後悔した」
「そんなのダメだ! だってグリフィスはこの仕事が好きで、部下もグリフィスの事すごく頼りに……ぁ」
そうか、そうだ。今の感情で放り投げたら、ついてきてくれた人はどうするんだ。バカやって、上手くいかない時代からなんだかんだとやってくれたルフランにも、申し訳が立たないじゃないか。
「お互い、バカな自棄は無しにしてよ。ちゃんと、考えようか」
「うん、そうだね」
でも、この後どうしたらいいのだろうか。他国でこんなこと、父が知ったら兄の立場はどうなるんだ。最悪家督がリッツに回ってくる。そんなの受け取れないってのに。
その時、手術をしている部屋からランバートが出てきた。服に少しついている血が怖いが。
「ランバート、どうだ?」
聞くのが怖くて声が出ないリッツに代わって、グリフィスが聞いてくれる。それに、ランバートもほっとしたように笑った。
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