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そして翌日改めて、アルブレヒトと顔を合わせる事になった。
「この度は大変なご迷惑をおかけしました、陛下」
素直に頭を下げると、玉座のアルブレヒトは安堵の様子で微笑んで立ち上がり、そっと側へと来てくれた。
「無事でなによりです、リッツ」
「本当に、お手数を」
「それはいいのです。こちらもどうやら、売買業者の一斉摘発が出来たようですし」
ニヤリと笑うあたり、ニヒル感が増している。でもどうやら、結果的に悪くなかったらしい。
「あの、それで、その……」
「ん?」
「兄の事、なのですが」
これを切り出すのは、実はとても不安だった。アルブレヒトという人の性格を知っているから、犯罪に加担した相手を放置はしないだろうと思った。そしてフランクリンは思いきり加担してしまっている。
やはりアルブレヒトは厳しい顔をした。それでも、リッツは言い募るしかないのだ。
「確かに俺の拉致に関わっているのは事実です! でもあの人も追い込まれていて、とてもまともな判断が出来る精神状態にはなかったんです! お願いします、処分を帝国に任せてもらえませんか!」
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