ベルギウス家の優雅な晩餐(リッツ)

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 本邸に足を運ぶのは久しぶりだが、懐かしいというよりも緊張感がある。いい思いでもあるのだが、大人になってからはちょっとしんどい事もおおかった。  そうして談話室につくと、リッツに少し似ている髪色と瞳の女性が、既にワインを片手にしていた。 「あら、リッツじゃない。久しぶりね」 「キャロル姉貴も久しぶり。旦那と上手くいってるわけ?」  とても砕けた感じで問いかけると、リッツの姉キャロラインは満面の笑みで頷いた。  二年程前に同じ商人の男の元に嫁いだ姉キャロラインは、元からの活発な性格を生かして今も商売をしている。主に女性目線での商品の開発がメインで、健康食品の輸入や化粧品の開発をしている。  旦那も生粋の商人なので、キャロラインの商品を売り込んだりしながら商売をしているそうだ。王都でも話をきく。  唯一の悩みは子宝に恵まれない事らしいが、お互い忙しくしているのだから仕方がないだろう。 「あんたは順調そうね、リッツ。甘ったれのあんたが意外な商才を持ってたって、旦那や父さんと話してるのよ」 「どうせ俺は甘ったれだよ」  ふて腐れて向かい側に座れば、すかさずワインが注がれる。それを飲み込み、リッツは子供みたいにふてくされた。 「まぁ、いいことじゃない。独立して家を出るなんて言い出した時には、本当に驚いたけれどね」     
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