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従者からのSOS
ランバートがリッツを訪ねてから一週間以上が経った朝、突然の来訪者に目を丸くした。
「リッツが、帰らない?」
早朝の騎士団宿舎で面会を求めてきたのはリッツの従者兼秘書のルフランだった。
普段はリッツとコントのような掛け合いをしている彼も、今日はなんだか顔色が悪く雰囲気が違った。
「ジェームダルに行ったんだろ?」
「そうです。そこで行方が分からなくなって」
「どういう事だ? 第一商売なんだから、予定通りに帰らない事なんてよくあるだろ?」
「あの人に限っては、ありません」
普段の怠そうな話し方もなりを潜めたルフランの様子に、何か思った以上に大変な事が起こっているのを感じたランバートはすぐに応接室へと彼を通し、そこにファウストも呼び寄せた。
ルフランの手帳を見ると、事細かに予定が書かれている。リッツの予定と来客や荷の届く予定、発注した縫製の期日なども。こんなに細かいスケジュール管理がされていることに驚いた。
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