ベルギウス家の優雅な晩餐(リッツ)

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ベルギウス家の優雅な晩餐(リッツ)

 晩餐の日、予定の時間よりも三〇分は早くリッツは実家へと到着した。それというのも商人の父は時間にとても厳しいのだ。  リッツの父、アラステア・ベルギウスは外見的にはニコニコしている。だが腹の底では損益勘定がかなりある。どちらにつくのが今後の利益になるのか、それを考える人だ。  だが同時に働いてくれる従業員に対しては寛大で、不正にはもの凄く厳しい。厳格であると同時に慈悲深い一面もある。総じて読めない人だ。 「お帰りなさいませ、リッツ坊ちゃま。旦那様はまだですが、キャロラインお嬢様はお戻りですよ」 「ただいま。これ、お土産ね。姉貴は談話室かな?」 「有り難うございます。お嬢様は談話室ですが、ご案内いたしますか?」 「あぁ、いいよ。自分で行く」  長年仕えてくれている執事にお土産のレッグチキンを渡す。下町にあるビル爺さんの所の肉だが、アラステアはこれが思いのほかお気に入りなのだ。一瞬「買収」とか不穏な事を言ったが、職人を困らせないでくれとリッツが言うと「そうだな」と身を引いてくれた。  正直、ヒヤヒヤしたのだ。     
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