39人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
チョコレートを見つめながら固まっていればゆっくりと瑞穂くんは唇を開く。
「蓮華、やっぱり嫌になった？」
「え、そんなことないよ」
「ごめん」
そんなことないよ。ちょっとだけ嘘をついた。全く気にならない訳ではない。けれど、こうして瑞穂くんが話してくれたのだから、我慢しなければ。
「謝らないでよ。私も手伝うから」
「え、なにを？」
「え、なにってチョコレートを渡すのを」
「え？誰に？」
意味が分からないというように、ぽかんとした表情の瑞穂くん。いや、意味が分からないのは私の方だよ。
てっきり、このチョコレートたちをバレンタインにもらった女の子たちに返していくものだとばかり思っていたのだけれど。
こんな量をひとりで渡すには時間がかかってしまう。だから手伝おうと思っていたのに。
最初のコメントを投稿しよう！