キミとスキとチョコレート

10/12
前へ
/12ページ
次へ
「よかった」 「え、なにが?」 「蓮華に嫌われなくて」 「どうして?嫌いになんて、ならないよ」 「こんなにチョコレート用意したらさ……」 「….…」 「気持ち悪いって思われるかなと思って……」 なんとも弱気な瑞穂くんの言葉にぎゅっと私の胸は締め付けられる。安心した瑞穂くんはゆるりと口元を緩めて笑った。そんな笑顔反則じゃないだろうか。 「あのね、気持ち悪いとは思わないけど、どうしてこんなにたくさん?」 ちらりと横に掛けられている水色の紙袋に視線を向ける。私の視線を追うように瑞穂くんの視線もつられて紙袋に向いた。 「蓮華にあげたいなって思うものが多すぎて、気づいたらこんな量になってた」 「……」 「蓮華、いちご味好きだったなとか、見たことないお洒落なチョコあげたら笑ってくれるかなとか。バレンタインのお返し探しながら蓮華のことばっかり考えてたら、こんなになってて」 「……」 「好きがあふれてしまいました……」 じわり、じわりと先ほどよりも熱くなる頬。隠したいけれど瑞穂くんに捕まってしまった手は無力で。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加