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「帰らないの?」
「……帰るけど」
今日の瑞穂くんはなんだかおかしい。
放課後、廊下側のいちばん後ろの席。なぜか帰ろうとしない瑞穂くんを私は瑞穂くんの前の席に座り、じっと見つめた。
いつもは気怠げで何事にも興味ないみたいな雰囲気を纏っているのに、今日の瑞穂くんはどこか挙動不審だ。
帰ると言ったのに、席を立とうとしない瑞穂くん。
私たちの他に残っていたクラスメイトふたりが新しくできたカフェの話をしながら教室の前の入り口から出ていく。
取り残されたのは、私と、ちょっぴり変な瑞穂くんだけ。
「帰らないなら私、先に帰るよ」
「待って」
「え、」
なかなか動かない瑞穂くんを見かね、先に帰ろうと席を立てば瑞穂くんの声音によってそれは呆気なく阻止された。
本当にいったい、瑞穂くんはどうしてしまったのだろうか。
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