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「瑞穂くん、どうしたの?」
「え、」
「なんか変だよ今日」
すると瑞穂くんは「はぁ」と小さなため息を吐き出した。
「あのさ、蓮華」
「なに?」
両腕を机に付き、身を乗り出しながら私を覗き込んでくる瑞穂くんに私の顔はまた熱くなる。近くないですか、この距離は。
瑞穂くんの吐息が唇に触れて、じわりと体の中で熱が広がって、眩暈がする。
「俺のこと、嫌いにならないで」
「ならない、よ」
「絶対だからね」
「……どうしたの、急にそんな?」
「お願い」
瑞穂くんの言っていることの意味は全くと言っていいほど分からないけれど、苦しそうに喉から絞り出すようなその声音にコクコクととりあえず大きく頷いた。
好き?と問うてきたのに、今度は嫌いにならないでなんてなんだか矛盾している。そもそも、私が瑞穂くんを嫌いになんてなるはずないのに。
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