キミとスキとチョコレート

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私の全力の頷きを確認すると、瑞穂くんは眉尻を下げながら先ほどガサガサと音を鳴らしていた大きな紙袋を机の上に乗せた。 目の前には淡い水色が広がる。 机の上に置かれた紙袋は私と瑞穂くんの間に壁を作った。瑞穂くんの姿が見えない。 いったいこれは?と立ち上がり紙袋の中を覗き込んでみれば、中には箱に入ったものや、可愛らしい袋で包装されているたくさんのチョコレート。 紙袋の先に見える瑞穂くんは下を向いたまま、視線だけをこちらにちらりと向けてくる。 そわそわしていた原因はどうやらこれだったようで。 「これ、バレンタインのお返し」 「あ、え、うん」 大きな紙袋いっぱいに入った様々なラッピングのチョコレート。バレンタインのお返しということは、これだけ瑞穂くんはバレンタインの時にチョコを貰ったということで。 冷静に、何個あるんだろ。とか、貰ったチョコは全部食べたのかなとかそんなことが頭を過る。なんて言って受け取ったんだろう。本命チョコもあったんだろうななんて。 ちくりと胸が痛むのは、単なるやきもち。 瑞穂くんがモテるのは知っていた。そりゃ、ずっと幼馴染で側にいたのだから知らない方がおかしな話で。
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