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「え、チョコレートを女の子たちに渡しに行くんじゃないの?」
「どうして?」
どうして?と言いたいのは私の方だ。バレンタインのお返しだとさっき自分で言ったではないか。
やっぱり、今日の瑞穂くんはおかしいのかもしれない。
「え、だって、このチョコレートってバレンタインに瑞穂くんがもらったチョコレートのお返しなんでしょ?」
「うん、そうだけど」
「なら、渡しに行かないと」
「うん、だからいま、渡したんだけど」
「え、?」
「全部、蓮華のだよ」
私の想像とは全く違う瑞穂くんの言葉に私の脳は処理が追いつかず言葉が出てこない。
けれど、頭で理解するより先に私の心はそれを受け入れたらしい。ほっとしている自分がいる。
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